大好きな西加奈子さん3選

わりとぽつぽつと本読みます。

一番好きな作家は西加奈子さん。

 

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西加奈子さんはイラン生まれで大阪育ちで、おそらく一番有名なのだとサラバ!

直木賞を受賞されました。すごいことです。

 

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このサラバは西加奈子さんの間違いなく最高作にして集大成。

度肝を抜かれる圧巻の作品!

ですがあえて「サラバ!」以外での好きな作品3つ勝手に紹介します。

 

まず西加奈子さんが書く物語は基本的に「家族」を取り巻く話が多く、私なりに良いなあと思うところは、結構生々しい表現をそのまま書かれるのですが、不思議と嫌な気持ちにならない。それどころか気持ちが良いくらいに。そして優しい。

そしてなにより西加奈子自体が作品の登場人物たちを愛して救済しています。

 

早速いきましょう。

 

「まく子」

 

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あらすじ

【温泉街の小さな集落に住む小学5年生になる慧はどうしても大人になりたくなかった。だって大人っていうものは情けないから。そんな時転校生のとても美しいコズエと出会う。コズエは砂だってなんだって撒いた。コズエのここへ来たある秘密を知ってしまった慧は「大人になる」意味を知っていく。。。

 

この話本当に温かい。この作品の良いところは、登場人物にどこの町にもいるような、きっと私やあなたの町にもいるようないわゆる「町の変わり者」が出てきます。そのような人たちはきっと簡単に括ってしまうと事情があったり社会に馴染めず外されてしまっている人。

その人たちに焦点を当てているわけではないが、この物語の重要な人なのです。

この物語には「死ぬということ」、「永遠」という難しい問題ですが温かく柔らかく話してくれます。読み終わると周りの人たちにいつもより優しくできそうです。

 

 

 

「こうふくみどりの」

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あらすじ

【大阪のとある町を舞台にさまざまなかたちの女のこうふくを描いた作品。

女ばかりの辰巳家、まだ初恋を知らない14歳の緑(みどり)。女の生きざまが光る物語】

 

 

内容は正直生々しく重いです。

なにより緑のおばあちゃんがすげえ怖い。うわあ。。ってなる。

それでも女は女なのよ!となんか登場人物の女性たちが強いこと強いこと、、、!

私が好きな理由は、このお話プロレスが関わっていて、(正直私はプロレス詳しくないけれど)アントニオ猪木がたびたび出てきて登場人物たちに大きく影響を与えていてなんだろう全然プロレス知らないのになんか良いなあと思えてしまう。

 

主人公の緑を取り巻く下町感満載の周りの人たちの態度も良い。

 

 

あとは実際にアントニオ猪木が引退の際に言った「道」という言葉、物語のラストで出てきますが意味合いが全く違うように聞こえてぐっと来た。

 

 

 

 

 

 

「さくら」

 

 

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あらすじ

【いつでもヒーローだった兄ちゃんは、20歳4か月で死んだ。誰もが振り向く超美形の妹ミキは、兄の死後、内に籠もった。母は太り飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾にピンクの花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、年末実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた――。】

 

私が西加奈子さんの作品で何が1番おすすめと聞かれたら迷わず「さくら」と答えます。家族の救済と再生のお話です。西加奈子の最初のほうの作品で私は一番好きです。

 

こんなに温かく胸がきゅうっと締め付けられる感じは、この物語を読んでる時しか味わえません。

あらすじからわかる通り家族の太陽だった死んだ兄を取り巻く話で、兄妹間での兄に対しての憧れや羨望、いかにみんな兄ちゃんのこと大好きだったか思い出してみても胸が締め付けられますわ。

 

私の好きなシーンが終盤で車の中での父がミキに言った「ミキ、あのランドセルは捨てたぞ」っていうところすごく好きなんですわ。

何かこう家を出て行ってしまって情けなくなってしまった父がなんかこう、父親としての役目を果たすというかそれだけで、「ああ、お父さんだ」ってジーンときます。

そしてなにより最後のミキの「うち、もし、もしに好きな人出来たらな」から始まる言葉は圧巻です。ミキのあふれだした言葉たちに感涙です。この言葉ですべてのこと、これからの大きな意味となる希望が湧いてきます。

西加奈子さんは必ず登場人物を愛し、救済してくれるのです。

 

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西加奈子さんの作品3つ勝手に紹介しましたがまだまだ素晴らしい作品たくさんあります。今度はつい最近出された最新作読了したのでまた書こうかな。